歯の豆知識
2024.04.25
【タバコのリスクについて】
こんにちは、歯科衛生士のOです。
今日はタバコが口に与える影響についてお話します。
タバコは体に悪いというのは周知の事実だとは思いますが、口の中にはどのような影響があるかはご存知ですか?
タバコの煙が一番最初に触れるのは口の中です。
タバコは口の中にも様々な悪影響を及ぼします。
具体的には大きく分けて3つの影響があります。
⑴歯周病の悪化
⑵歯や歯肉の着色
⑶口臭
です。
ではなぜタバコを吸うことによって歯周病を悪化させてしまうのでしょうか?
それには5つの原因があります。
①タールが付着すると歯垢や歯石が付きやすい
②歯周病と戦う白血球の機能が低下する
③歯茎に酸素や栄養を供給するのに大切な血管が、タバコのニコチンによって収縮してしまう
④歯茎を修復するために必要な細胞の働きが抑制される
⑤歯と歯茎の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素が嫌いな歯周病菌の繁殖しやすい環境が作られてしまう
これらによってタバコを吸う人は歯周病になりやすいと言われています。
一般的にタバコを吸う人は吸わない人に比べて3倍も歯周病にかかりやすく、また2倍も多く歯を失っているという報告もあるそうです。
血管を収縮させる作用を持つニコチンによって血液循環が悪化し、歯茎に酸素や栄養が十分に供給されなくなる結果、歯周病がより一層進行、悪化しやすい状況となります。
タールには歯周病の進行を早める作用がありますが、同時に炎症を抑える働きもあるため痛みを感じにくくなります。
歯周病が進行しても、痛みや腫れなどの症状が出にくいという事です。(知らない間に進行するから逆に恐ろしい…)
また、タールは唾液の分泌量を減少させる効果があり、歯周病の元となる歯垢や歯石が歯に付着する要因にもなっています。
このように、タバコに含まれるタールとニコチンの相乗効果により喫煙者の歯周病は非喫煙者と比較して極めて劣悪な状態となります。
では加熱式たばこはどうでしょうか?
従来の紙タバコは、タバコ草やタバコ草を用いた加工品を燃焼して発生する煙を喫煙します。
一方、加熱式タバコは専用機器を使って電気で直接加熱し、エアロゾル(気体中に浮遊する微小な液体または個体の粒子)を発生させて喫煙するものです。
主流煙の白い煙、副流煙がほとんど発生しないことが特徴のひとつです。
加熱式タバコは普通のタバコと比べ、健康への悪影響が少ないとされていますが、ニコチンや一酸化炭素が入ってないわけではないので、全く影響がないということではありません。
ただ普通のタバコに比べてタールがほとんど入っていないため、歯は黄ばみにくいと言われています。
次世代タバコも、「有害物質が少ない」からといっても「健康に良い」わけではありません。
加熱式タバコにもニコチンが含まれており、歯茎への栄養補給を遅らせてしまう作用がありますので、歯茎への悪影響はあるでしょう。
歯周病の治療や予防、口内環境を改善するために1番良いことは喫煙自体を辞めることです。
喫煙の本質はニコチン依存症です、
禁煙しようとしてもなかなかできないのは、身体的依存と心理的依存という薬物があるからです。
ニコチンの依存度の発症はヘロインやコカイン、アルコールよりも高くなっています。
加熱式タバコには結局ニコチンを吸っていますので、依存性もありますし、タバコを吸うという習慣も変わらないので、禁煙へ導くには逆に遠回りになってしまうように感じます。
また、紙タバコと違い、発生する有害物質が見えにくいので、周囲の人々は受動喫煙を避けられず、かえって危険であるとの見解もあるようです。
紙タバコも加熱式タバコも体や口内への悪影響は避けられません。
しかし禁煙をすることで、リスクが下がっていくことも研究で分かっています。
ある程度進行した歯周病であっても禁煙は有効であるといわれていますので、禁煙の実行に遅いことはありません。ちなみに院長はタバコの匂いだけで頭痛がひどくなるのでタバコは大嫌いです。
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