子どもの歯の治療
子供の歯の治療について
大人の方でも何年もむし歯を治療せずに放置し、ボロボロになって手遅れの状態で来院される方がいます。
そのような方に「なぜここまで放置してしまったのか?」「歯科医院に行く勇気をなぜ持てなかったのか?」と聞くと大半の方がこう答えます。
「子どもの頃、むし歯の治療をしてもらった時に無理矢理押さえつけられて…それがトラウマなんです…」
小さい頃の苦い思い出は大人になっても消えることはありません。
このような歯科医院に対するトラウマを一度持ったら、それを拭い去ることはホント難しいです。
我々歯科医師は「歯の治療」はできますが、「心の治療」ができるわけではありません。
子どもにとって初めての歯医者はとても怖い存在、怖い場所だからこそ、最初から治療をすることはありません。
まず行うべきことは歯科医院になれることです。
むし歯の治療は子どもにとって一つずつステップを踏んだ「最後のステージ」にあたります。
そのステージまでたどり着くにはいくつものハードルがあります。
そのハードルを一つずつクリアしてから最後ステージのむし歯の治療をしていく、という流れが理想的なスタイルです。
もし、「泣き叫んでも無理矢理でも良いから治療して欲しい」というご要望がある方は他院へ通院されることをオススメします。
癒合歯(ゆごうし)について
癒合歯は、永久歯より乳歯の方が発生率が高く、100人いれば数人に癒合歯が見られます。
主に前歯が癒合することが多く、(1)上顎AB(2)下顎BC(3)下顎ABが代表的です。
乳歯の癒合歯が見られた場合、後継永久歯(その下から生えてくる大人の歯)のうち1歯が先天欠如する可能性があります。
(1)上顎AB癒合歯:後継永久歯の先天欠如の確率65%
(2)下顎BC癒合歯:後継永久歯の先天欠如の確率73%
(3)下顎AB癒合歯:後継永久歯の先天欠如の確率16%
※Tsujino.K et al.の報告より
癒合歯が見られた場合、永久歯の先天欠如の可能性があるので、歯科医院でレントゲンを撮影してもらい、今後の起こりうる可能性を説明してもらうと安心かもしれません。
万が一、永久歯の数が少ないことがわかっても落胆する必要はありません。
下顎の前歯などは、むしろ歯の数が少ないことできれいに並ぶことがあります(結果オーライということです)。
いずれにせよ、生え代わりの時期に注意深く経過観察をしてもらうことが大切です。